犬の病気
2024.10.01
犬の歯周病
・口が臭う
・歯が汚れている
・歯がぐらついている
・口周りを触らせてくれない
・目の下が腫れている
・鼻水くしゃみがでる
このような症状に心当たりはありませんか?
3歳以上の約8割のわんちゃんは歯周病を患っていると言われています。特に中〜高齢で多く認められ、その中でも小型犬は顎の大きさが小さく、歯と歯の間が狭いため、汚れが溜まりやすくなる傾向にあります。
重度になると歯肉からの出血や膿が出てくることもあります。
犬の歯周病とは
歯の表面に歯垢や歯石がつくことにより、歯を支えている周囲の歯肉に炎症を起こす病気のことです。炎症は最初、歯肉のみに起こりますが、これを放置していると、炎症は歯肉以外の組織まで及びます。
この病気は進行すると歯根のまわりから骨を溶かしていき、内歯瘻(歯肉に穴が開く)や外歯瘻(皮膚に穴が開く)、口腔鼻腔瘻(鼻と口の間に穴が開く)、下顎骨の骨折を引き起こすことがあります。さらに、歯垢中の細菌が全身の血液中に流れ、心臓や腎臓、肝臓などの病気に移行することもあります。
犬の歯周病の診断
視診で歯石、歯肉の炎症、歯肉の後退具合を確認します。
その後、麻酔下でプローブを用いて歯と歯肉の間のポケットの深さを測り、歯科レントゲンにより骨の吸収程度を確認します。
歯科用プローブ 歯科用レントゲン
犬の歯周病の治療
麻酔下で歯垢や歯石の除去を行い、歯周病が進行していて温存できない歯は抜歯します。自宅での歯磨きができ、1〜2年ごとの麻酔下歯石除去を行うことができれば、ルートプレーニングにより歯を温存できる場合もあります。
症例紹介
歯石は重度に蓄積しており、歯肉は炎症を起こして赤く腫れています。
歯のレントゲンを撮ると歯周病により骨が溶けているのがわかります。
歯の温存が難しいと判断した歯は抜歯をし、吸収性の糸で歯肉を縫合しています。
犬の歯周病の予防
犬猫は歯磨きをしていない状態を3日放置するだけで歯石が付着してしまいます。上記のような状態にもならないためにも毎日の歯磨きを行うことで歯垢や歯石の付着を防ぐ必要があります。また、定期的な麻酔下での歯石除去を行うことで、さらに口腔内の衛生状態を清潔に保つことができます。
歯磨きで使用する歯ブラシの種類は、口腔内の状態や動物種によって変わりますので、歯ブラシの選択や歯磨きのやり方はいつでもご相談ください。
また、口腔内ケアお助けアイテムの歯磨きペーストやデンタルガムを使用することで口腔内細菌の増殖を抑制できるのでおすすめです。歯磨きの時においしいペーストを使用したり、歯磨きに慣れるまでの間やご褒美として歯磨きガムを活用してみてはいかがでしょうか。
毎日歯磨きを行い、飼い主様もわんちゃんねこちゃんも健康で快適な生活ができるように心がけていきましょう!
なぐら動物病院 獣医師 安部昌平
愛知県東郷町 名古屋市緑区天白区 日進市 豊明市 みよし市近郊