お知らせ・コラム

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小動物の病気

2022.10.17

うさぎの子宮疾患

うさぎの子宮疾患

うさぎの子宮疾患は、悪性の子宮腺癌、子宮平滑筋肉腫、腺扁平上皮癌、良性の子宮内膜炎、子宮水腫、子宮蓄膿症など様々あり、未避妊の5歳以上のうさぎで多く発症が見られます。ある程度、病気が進行しないと症状を見せないため、なかなか気が付きにくい病気の一つです。

うさぎの子宮疾患の症状

うさぎの子宮疾患の一番多い症状は、血尿です。血尿は病気の進行が初期のときは一過性(1~2日のみ)のことも多く、様子を見てしまいがちです。問診で「1年前くらいから、たまに血尿があった」などで、ご来院される場合もしばしばあります。また、乳腺の腫れや腹部膨満などの症状が見られることもあります。

うさぎの子宮腺癌の診断と治療

うさぎの子宮疾患の診断は、腹部超音波検査が一番有効です。ほとんど大きくなってない子宮の場合は判断が難しい場合もあります。またレントゲン検査は尿路結石の有無や肺転移の有無なども行い、ほかの病気との区別や重症度の判断に有効です。

子宮疾患は放置すると腹腔内出血や腹水貯留などを起こして、手遅れになってしまうこともありますので、症状がほとんどない元気なうちに卵巣子宮摘出手術をお勧めしています。病気が進行し、貧血や多臓器に癒着を起こしてしまいますと、手術のリスクが非常に高くなり命にかかわります。

確定診断は摘出後の子宮の病理診断となります。

早期に手術し治療を終えた子は、ほとんどの子が寿命をまっとうすることができます。すでに転移が見られた場合は手術のリスクが高いため、対症療法しかできない場合もあります。抗がん剤治療などの報告はあるものの、成功した報告はありませんので、現実的には難しく、負担の少ない方法での治療が望ましいでしょう。

病気は早期に発見し、治療すれば完治することも多いですので、早めに受診することをお勧めします。また、若いうちに避妊手術しておくことで病気の予防に繋がります。

 

腫大した片側の子宮角

摘出した子宮

 

なぐら動物病院 獣医師 名倉美智子